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"本日のアルバム"…好きなアルバムのことを書き留めます

#5 『若者たちへ』羊文学

祝メジャーデビュー!!本日のアルバムは羊文学のファースト、『若者たちへ』。

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羊文学は、聞かず嫌いしてたバンドだった。2018年の年間ベストに、『若者たちへ』のジャケを並べる人は数多かったけど、そのバンド名がひっかからなくて(超失礼)、聞くこともなく半年。ふとしたきっかけで去年の初夏に出したe.p.「きらめき」を聴き、すっかりハマって勢いのままにこのCDを購入。

 

まずね、このジャケ、タイトル、センスの塊。その前に発表されていたミニアルバムからも何曲か収録されてる。一曲目に"エンディング"って曲持ってくるこの感じ…っくぅ!

無駄の削ぎ落とされた3ピースのアンサンブル。繊細さ、鋭利さ、くらさ、どろどろ、ぜんぶそのままぶつけるギターサウンドが本当に心地いい。ファズ踏んだときのカタルシスよ。ベースもドラムも主張しないけどしっかりそれを支えてる。

 

そして詩。どこをとっても、鮮烈。

青春時代が終われば
私たち生きてる意味がないわ
ー"ドラマ"

長い階段を駆け上がってたら
足が疲れて座り込んでしまった
一度こうなると、立ち上がるのには
ものすごくつよい心がいるなと思った
ー"Step"

この、終わりに向かう若さとそれを背負っている焦りとか、鬱屈と諦観とか、うまくかたちにならなかったはずの感情ぜんぶ、言語化されてしまった。たまらない。

 

強いビジュアル、キャッチーで爆発力のあるサウンド、背伸びしないのに俯瞰的で共感を呼ぶ歌詞、全部ある。そりゃ売れる。でも売れてもオルタナおねえさんたちでありつづけてくれると信じてる。メジャーデビューおめでとうございます!!!未聴の方、これを機に、ぜひ。

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ニューアー写。まじでビジュアル強ぇ…

来るアルバムに期待を寄せつつ。

#4 『バンドを始めた頃』The SALOVERS

見事に三日坊主となり放置してました。まあこんな感じでゆるゆるつらつら書いてくつもりです。

てなわけで本日の一枚、The SALOVERSで『バンドを始めた頃』。

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閃光ライオット出身、Gt.Vo.古舘佑太郎を中心に幼なじみで結成されたThe SALOVERSの2nd。とはいえ、1stは6曲、この2ndは7曲とボリュームは控えめでミニアルバムとされてもおかしくない。このリリース曲の少なさで2枚目にして、タイトルは原点回帰ど真ん中の『バンドを始めた頃』。はやくないかい  M2 SAD GIRLなど、1枚目に入れなかった初期の曲を音源化し加えつつ、同名タイトルのスローナンバーで終える、という構成。

失礼を承知ですが、古舘佑太郎はまぎれもなく天才型。そして彼をひとことで表すなら「純粋」。ピュアな感性で突っ走り、初期衝動をこのクオリティでパッケージにしてしまえる恐ろしさ。全編一発録り。アンサンブルのあやうさ漂う一曲目からして、惹きこまれてしまう。こういうのに弱い人間は多いだろう。私含めて。

なんといってもM6 夏の夜。これは世の並のソングライターを一発で殺せる破壊力がある。"あいつら人間には内緒だぜ"!古舘くん自身はこの曲に呪われることになってしまったかもしれんが、それほどに完成されている。もし、もし仮に彼が二世だというラッキーに助けられてデビューしたのだとしても(彼の父は古舘伊知郎)、こんなの作られたらなんも言えんよ。

全体をきくと、良く言えば情熱的、悪く言えば暑苦しいボーカル、楽器ほぼ鳴りっぱなし、随所に出てくるよくわからん造語…と、まあ胃もたれしちゃうんで、冒頭でああはいいましたがこのくらいのボリューム感でぎりぎりではないでしょうか。とはいえ、煩すぎるくらいの熱量と一発どりの醸しだすバンドは生き物感が私は好きです。ジャケも素敵。バンドっていいよな。

#3 『Ocean Eyes』Owl City

本日の一枚はOwl Cityの『Ocean eyes』。

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セカオワにどハマっていた中2当時、Tokyoという曲でアウルとセカオワがコラボした(TokyoはMobile Orchestraに収録)。その流れでSOLのセカオワのコーナーでM9 Firefliesがかかって一発で気に入った。洋楽が好きになったのはこの時がはじめて。

この曲に関してはほかにも、特別な思い入れがある。高1の夏、アメリカのワークキャンプに参加した。一時的に学校を借り上げた宿舎で、男子と女子は明確にゾーンが分かれ、行き来が禁止されてて、境目にはコーンとロープがあった。私の寝泊りする教室はそのすぐ隣だったんだけど、何日めかの夜、なんとなくそのロープを挟んで人が集まりだした。どこからともなく音楽がかかって、自然とみんなが歌い出す。そこでかかったのが、Firefliesだった。向こう側の男の子たちもこっち側の女の子たちも、思い思いに声を重ねて、うねりが大きくなっていくさまに、かなり感動した。2番歌える人ほぼいなくて途中で違う曲に変えられてたけど。笑 そのあとも何曲か即席のフェスは続いて、結局大人の登場によりバラされた。いつのまにやら、ゾーニングバリケードは崩れていた。

とまあ、こんなことがあり、わたしにとってFirefliesは心の一曲とも呼ぶべき曲なのです。

Firefliesの話しかしてねぇな?笑 アルバムでは、ファンタジック、ドリーミーな彼のサウンドが堪能できる。ぽこぽこしてて、とかく耳なじみのいいエレクトロ。爽やかで、そのアートワークのごとく、突き抜けた青さが気持ちいい。夏のキラッキラの日差しを感じる。一気に別世界に連れてってもらえるような疾走感あふれるM1 Cave In、虫歯痛いでも歯医者怖い!てな歌詞が可愛いM6 Dental Careがお気に入り。

ところで、彼の曲の英語はめちゃ聴きやすい&歌いやすい。だからハマったのかな、なんて振り返ったり。普通にリスニングの練習できそう。

ではまた。

 

#2 『家族行進曲』ハンバートハンバート

本日のアルバムは今どハマりしているハンバートハンバートの『家族行進曲』。

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「うた」の強度がとんでもなく高い。それは自然でありながら芯のあるメロディと、ときどき苦しいほどまっすぐな歌詞、二人の声のなせる技。生まれ変わるなら遊穂さんの声になりたい。シンプルに歌が上手くて、雑味も嫌味もない、魅力的な声。優しい。でも、いざすぐそばまできたときに心臓がひやりとする、そのつめたさがハンバートハンバートの魅力だと思う。

歌詞にはたしかな質量がある。けして語りすぎないのに、ある人生がばっと突きつけられるような。そこには正しさとか、窮屈な理論じゃなくて、ただ日々があるような。だからあたたかいし、同時に苦しいのだ。離婚した両親に会いに行く子、帰らぬ人を待つ女性、自殺未遂した男性、墓前で手を合わせる人…実体験じゃないらしいのに、どこからこんな世界が浮かび上がってくるんだろう?詩人ってすごい。

ともすれば重たくなりすぎてしまうような歌詞だけど、メロディと歌い方、サウンドはあくまでも聞きやすいものになっている。フィドルバンジョーの音がアクセントになってて心地よいし、このアルバムでは私はドラムがすごく好き。軽やかでお茶目。

心に潜り込むようなM7-10を経て、二人の掛け合いが最高なM11という後半の流れがとってもいい。もうすぐ母親の誕生日だってことを、なんとなく思い出した。なんか花でもあげようかな、そんな気にさせてくれるアルバムです。

 

ハンバートハンバートといえば、いま不定期でyoutubeにあげているお庭での演奏動画が最高なのでこれもぜひ。

https://youtu.be/3_UvUrqXvsQ

コロナあけたら生で聴きたいな。

#1 『Sea and the Darkness』Galileo Galilei

記録と文章の練習のために、今日から一枚ずつ、好きだったり最近ハマってたりするアルバムについて書き残すことにします。不定期更新。

記念すべき1枚め!はGalileo Galileiの『Sea and the Darkness』。これまでの人生で一番聞いたアルバム。

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この先これを超える一枚に出会えるのだろうか。って思うくらいに圧倒的で、絶対的な私の感性の中心。

一つの街の中の出来事として曲は繋がれていて、そこで暮らす人々の姿を浮かび上がらせていく。歌詞カードでは飼い主とはぐれた犬(スタンリー)がゾンビから逃げ惑いながら街を彷徨う様子がかかれている。絵本みたいだ。

当時の彼らは多分、このジャケットのスタンリーみたいにいろんなものに追われて、そこから必死で逃げ出そうとしていたんだろう。20代の若者の鬱屈とか、闇のなかで相手の見えないまま闘う様が生々しく落とし込まれている。M12ブルースで「そうさ、このアルバムはクソだ 嘘だよ そうさ、この感情はないほうがいい」と叫ぶ声が、あまりに切実で痛い。ハイキュー!!のタイアップだったM15クライマーが完全にボーナストラック扱いになっているのは"そういうこと"なんじゃないかと、邪推する。バンドは当時ギリギリなところにいた。一つ前のミニアルバムの時点ですでに活動を終らせる話は出ていたらしい。

ガリレオがラストアルバムとしてこれを世に出した、世に出せたのは奇跡で、必然だったんだと思う。個々のトラックの歌の力、リリック、アルバム通して漂う死の匂いと乾いた音像、全てにおいて完成されてる。と、私は思ってる。

 

解散後、再始動前に知った私はもう彼らの音は聞けないと思ってたので、warbear-BBHFの始動は本当に嬉しかった。warbearのツアーの時はこのアルバムから大好きな鳥と鳥やってくれて泣きそうになったなぁ…でも、彼らならこれを超えるものを絶対作ってくれると信じている。

BBHFが9月に出す2ndアルバム、『BBHF1 -南下する青年- 』から、昨日「僕らの生活」が先行配信された。すでに公開されている「リテイク」とあわせて、二曲めの配信ということになる。

https://open.spotify.com/track/4WysBMTaVOn3560BSnkT4r?si=eVgIR3ndSnWkBPmq5JRBCg

Sea and the Darknessの頃とは音楽性もリリックの方向性も変わっているけれど、圧倒的な歌の力は変わらず、今のアップデートされた彼らの音楽を堪能できる。ワクワクせずにはいられない。すごいアルバムをリアルタイムで体験できるかもしれない…!!!本当にたのしみ。9月2日のリリース日、震えて待ちましょう。