#2 『家族行進曲』ハンバートハンバート
本日のアルバムは今どハマりしているハンバートハンバートの『家族行進曲』。
「うた」の強度がとんでもなく高い。それは自然でありながら芯のあるメロディと、ときどき苦しいほどまっすぐな歌詞、二人の声のなせる技。生まれ変わるなら遊穂さんの声になりたい。シンプルに歌が上手くて、雑味も嫌味もない、魅力的な声。優しい。でも、いざすぐそばまできたときに心臓がひやりとする、そのつめたさがハンバートハンバートの魅力だと思う。
歌詞にはたしかな質量がある。けして語りすぎないのに、ある人生がばっと突きつけられるような。そこには正しさとか、窮屈な理論じゃなくて、ただ日々があるような。だからあたたかいし、同時に苦しいのだ。離婚した両親に会いに行く子、帰らぬ人を待つ女性、自殺未遂した男性、墓前で手を合わせる人…実体験じゃないらしいのに、どこからこんな世界が浮かび上がってくるんだろう?詩人ってすごい。
ともすれば重たくなりすぎてしまうような歌詞だけど、メロディと歌い方、サウンドはあくまでも聞きやすいものになっている。フィドル、バンジョーの音がアクセントになってて心地よいし、このアルバムでは私はドラムがすごく好き。軽やかでお茶目。
心に潜り込むようなM7-10を経て、二人の掛け合いが最高なM11という後半の流れがとってもいい。もうすぐ母親の誕生日だってことを、なんとなく思い出した。なんか花でもあげようかな、そんな気にさせてくれるアルバムです。
ハンバートハンバートといえば、いま不定期でyoutubeにあげているお庭での演奏動画が最高なのでこれもぜひ。
コロナあけたら生で聴きたいな。